Tuesday 11 November 2014

「若者のすべて」 in 槇原敬之 Listen To The Music The Live うたのお☆も☆て☆な☆し 2014 パート1


「赤黄色の金木犀」について書いている途中ではありますが、今日はDVDを一つご紹介したいと思います。

以前、フジファブリックの歌詞に登場する「花」の魅力について色々考えていたとき(「志村君と花」 2013年10月29日付)、槇原敬之さんの「世界に一つだけの花」が頭に浮かび、併せてご紹介しました。

偶然にも、2014年9月24日リリースの「Makihara Noriyuki Concert Tour 2014 "Listen To The Music The Live うたのお☆も☆て☆な☆し 2014"」(詳しくは、槇原敬之 公式ホームページ DVDをご覧下さい。)で、フジファブリックの「若者のすべて」がカバーされました!

このニュースをきいた時、頭の中の私だけの個人史で「新」と「旧」がコラボしたような、なんとも不思議で温かい気持ちになりました。

私達の世代にとって槇原さんの音楽は、「テレビをつけても、街を歩いていても、流れていた曲」という表現がぴったりで、ドラマの主題歌、甲子園の入場行進曲、紅白歌合戦、レコード大賞など、本当によく耳にしました。
「その時に流行っていた音楽を聞くと、当時を思い出す」という体験をさせてくれたミュージシャンも、槇原さんが初めてのような気がします。

ホームシックだったとき、槇原さんの曲をよく聴いたなぁ・・・。


「Listen To The Music」(2014年11月現在、3作がリリースされている)というセルフプロデュースによるカバーアルバムから、「時代やジャンルにとらわれず様々な音楽を聴いてほしい」という想いが詰まった初のカバーライブDVD。歌謡曲から文部省唱歌、J-POPまで、幅広いジャンルの音楽が彼自身によって選曲されています。

ちなみに「Listen To The Music 2」は「生まれ変わった時にもまたききたい曲!」、「Listen To The Music 3」は「多大な影響を与えて下さった方の楽曲を、感謝を込めてカバーしたい」というテーマの下、製作されました。

DVD収録曲22曲中、既存のカバーアルバム3作唯一の未収録曲として披露されたのが、このフジファブリック「若者のすべて」です。

槇原さん流にいう「シークレット Listen To The Music」。

「若い人たちの曲でも、すごい良い曲だと思ったら勝手に歌っていた。スタッフと『やりましょう!』ということになった。」

まず曲を聴いて率直な感想ですが、私は槇原さんの歌う「若者のすべて」、とても素敵だと思いました。個人的に、大好きです。

まず歌詞をとても大切に、丁寧に歌って下さっていることに感謝です。

「出会えて・・・、この曲がある時代に生まれて良かったな、と思えた曲。」
「(この曲を作った志村君が亡くなったという事実を知り)僕にとってはバッハとかベートーベンと同じ気持ちです。」
「すごい良い曲。最初に聞いたとき、『なんだよ!この曲!』泣いちゃいましたよ、僕。」

MCで語った曲への想いが、一語一語を丁寧に歌う歌い方から伝わってきます。

映像をみていると、ステージ下方に歌詞を映し出す小さなスクリーンらしきものが見えますが、歌詞を間違わないように、曲にたずさわる方達に失礼のないように、細心の注意をはらっているのがわかります。
そのスクリーンを見ているのが観客にはわからないようにしているのも、さすがプロの心遣いです。


また、曲に槇原さんの声の質がとても合っていると思いました。
透明感のある、澄んだ声で軽やかに歌う「若者のすべて」は、志村君とはまた違う雰囲気を感じます。

PVで使われた白っぽいグレーの背景、メンバーの着ている黒、グレー、白の洋服の色。志村君の声と金澤さんの奏でる淡々としたピアノの音と相まって、視覚、聴覚を通して独特な印象を与えるフジファブリックの「若者のすべて」ですが、オリジナル曲のもつ魅力をできるだけ壊さず、自己流に走らず、独りよがりにならないように、でも槇原さんの色が出ていて、それがとても彼らしいと思いました。


私は時々、「フジファブリックの曲には魔法がかかっているのかな。」と思うときがあります。
志村君がかけていって、志村君にしか解くことのできない「魔法」。

フジファブリックの楽曲(志村君の作ったもの)は、どなたが歌っても素晴らしいことに変わりはないけれど、志村正彦さんがボーカル、フジファブリック演奏が、一番伝わってきて心に響く。単刀直入に言ってしまえば、一番好きです。

それが声の質によるものなのか。
声域なのか。
楽曲の音域なのか。
息遣いなのか。
息継ぎなのか。
曲に込められたメッセージの発信源である人の特権なのか。
聴き慣れているからなのか。

それとも、もっと違う「なにか」なのか。

理由はわからないのですが、それはまるで「魔法」がかかっているような・・・。

音楽は完全に趣味と嗜好の問題なので、私の個人的な意見ではあります。

でも槇原さんの歌う「若者のすべて」は、ステージ上で使われた青色、水色、桃色の照明も、静かに真剣に聴いている観客も、バックバンドも、槇原さんも、すべてが一体となって「若者のすべて」槇原バージョンを見事に作り上げていると思いました。

(次の記事に続きます)

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