Friday 30 May 2014

ご挨拶

読者の皆様へ

この度、一身上の都合により、ブログを閉鎖することとなりました。
今までご愛読頂き、ありがとうございました。

2014年5月30日(金)
ハンドルネーム バンコクのジャックラッセル
杉山麻衣

Saturday 24 May 2014

2014年4月13日(日) Live at 富士五湖文化センター 上映會レポート3

前項からの続きです。

『ペダル』から『記念写真』、『B.O.I.P.』と3rd アルバム『Teenager』と同じ曲順で、ライブは進んでいきます。

ここで2nd アルバム『FAB FOX』から『Sunny Morning』が演奏され、『Chocolate Panic』へ。

ライブ映像としてDVD化されている『Chocolate Panic』は、この『Live at 富士五湖文化センター』だけですが、ライブの良さが際立つ演奏でした。私が座っていたのは会場のほぼ中央、やや右よりの席でしたが、各楽器の音がはっきり聴こえていながらほどよく重なり合い、今まで聞いた中でも最高の『Chocolate Panic』でした。

(セットリストの記憶が定かでないため、ここからはDVDを観ながらあの日の記憶を呼び起こそうと思います。)

そして『桜の季節』。

上映會当日、富士吉田では桜が見ごろを迎えていて、街の沿道は淡いピンク色に染まっていました。桜の季節に富士吉田で聴く『桜の季節』など、想像したこともなかったので感慨深いものがありました。
デビュー10周年を明日に控え、デビュー曲『桜の季節』はメジャーデビューから数えると一番古い曲であり、すべての楽曲の中で一番長く聴かれ続けている曲になるわけです。『東京、音楽、ロックンロール』に書いてあるPV撮影秘話など、いろいろなことを思い出してみていたからか、あの日の『桜の季節」は特別輝いてみえました。

『唇のソレ』『ロマネ』の後、『線香花火』『浮雲』など富士吉田を思わせる曲が続きました。

「登ろう いつもの丘に 満ちる欠ける月
僕は浮き雲の様 揺れる草の香り」

志村君を知る親しいご友人やご家族は、なんとなく気付いていたのかもしれませんが、ここで歌われる「いつもの丘」が忠霊塔を指しているというのは、あのライブで初めて公になったことでした。

「中学、高校の時に、よく行っていた。」という忠霊塔で、志村少年は何を考えていたのでしょう。富士山を見て、何を思っていたのでしょう。

「何処ぞを目指そう 犬が遠くで鳴いていた」

「雨で濡れたその顔に涙など要らないだろう」

そして最後に、歌詞はこのように締めくくられます。

「独りで行くと決めたのだろう
独りで行くと決めたのだろう」

富士吉田のバンド少年たちの多くは、いつか富士五湖文化センターの舞台に上る日を夢見て頑張るのだときいたことがあります。富士五湖文化センター大ホールは、バンド少年たちの憧れの場所、いわば聖地のようなところです。

「高校時代の決意をこめた曲を、満席の大ホールで演奏した志村君の気持ちは、どんなだっただろう。」と考え、想像していました。
会場にある緞帳のデザインにもなっている忠霊塔。
志村君にとって特別なその場所は、今では志村ファンにとっても特別な場所となっていて、来る人が絶えることはありません。

『またばき』『若者のすべて』『星降る夜になったら』と、今でも根強い人気を誇る三曲が『Teenager』より演奏されます。


上映會では色々な思いが浮かんでは消え、消えては浮かびしましたが、ライブ映像に映るフジファブリックの4人は最初から最後まで、本当に楽しそうだったというのが率直な印象です。

地元で行う初めてのライブにこめた志村君の思いは、随時その表情に現れていたかと思います。緊張した顔をしたり、時には照れくさそうな顔をしたり、最後には思い詰めた顔をしたり。

そんな彼の横には、この4年間いつもそうだったように、総君がいて、大ちゃんがいて、加藤さんがいました。

メンバー一人一人が、すごく楽しそうで、いい表情をしていました。

総君が弾くリードギターは、いつもと変わらずやっぱり上手で(プロの人をつかまえて、『上手』などと失礼な言葉をお許し下さい。ギターのことがあまりわからないので、これ以上のうまい褒め言葉が見つからないのです・・・。これから勉強します!)、「フジファブリックの複雑で難しい魅力あふれるギターは、この人が支えてきたんだ。」と納得させる演奏でした。

大ちゃんの弾くキーボードは、味わいのある渋い音。
フジファブリックの楽曲はキーボードが欠かせない要素となっているのは、皆様ご存知の通りです。
MCでの志村君との絡み?は、いつもゆかいで笑いを誘います。

加藤さんは口数は少ないけれど、飛び切りの笑顔で楽しそうに終始演奏をしている姿が印象的でした。志村君のギターと加藤さんのベースが向き合って演奏する様子は、無邪気に楽しそうで、二人の姿に無常な時の経過を感じ、涙が流れました。

皆それぞれ、実に良い顔をしていました。
(次回に続きます。)

Monday 19 May 2014

2014年4月13日(日) Live at 富士五湖文化センター 上映會レポート2

タイに戻ってまいりました。
連日40度を越える猛暑とスコールに少々ばて気味の日々ですが、気分はすっかりフジファブリックモードに戻って記事の更新をしていきたいと思います。

よろしくお願い致します。


「自分の声が成分のひとつとして入っている」と言っていた「大地讃頌」は、下吉田中学校卒業記念として配られたCDより再生されたものでした。志村君が10年という年月、思い出と共に大切に東京の自宅にとってあったCDです。

今でも下吉田中学校では卒業式に「大地讃頌」が歌われると、以前富士吉田できいたことを思い出しました。

ここに改めて、歌詞を記しておきます。

作詞 大木惇夫
作曲 佐藤眞 
母なる大地のふところに
われら人の子の喜びはある
大地を愛せよ
大地に生きる人の子ら
その立つ土に感謝せよ 
平和な大地を 静かな大地を
大地をほめよ たたえよ 土を
恩寵の豊かな大地
われら人の子の大地をほめよ
たたえよ 土を 
母なる大地を 母なる大地を
たたえよ ほめよ
たたえよ 土を
母なる大地を ああ
たたえよ大地を ああ
「大地」という言葉がキーワードになっているこの曲ですが、大地への感謝の気持ちを忘れずに、褒めたたえようという歌詞に志村君は何を思ったのでしょう。何かを生み出す力をもつ母なる大地。

中学卒業の時点には、すでにプロミュージシャンを志していたと思われますので、「いつかこのステージに立つんだ。」と思いながら歌っていたのでしょうか。

同級生と共に歌ったこの曲を、10年後に同じ会場である富士五湖文化センターで、自ら率いるバンドの地元初ライブオープニングの曲として流すのというのは、集まったファンにとっても嬉しいことではありますが、誰よりもご本人にとって最高のプレゼントだったのではないでしょうか。
「よかったでしょう?」とMCでお客さんに語りかける、あの嬉しそうな笑顔が忘れられません。


今回の上映會について特記すべきことのひとつは、音響のよさだと思います。

改装前の富士五湖文化センターでの音響設備や録音技術などを考慮すると、「あの日に限りなく近づけ、再現する上映會」というのは至難の業であったと思います。
サウンドエンジニアさんを筆頭に、関係者の方々のご苦労は並大抵のものではなかったはずですが(詳しくは、こちらのブログ記事をお読み下さい。レコーディングエンジニア高山徹さん、山梨県出身のエンジニア上條雄次さんのお話が、とても興味深いです。偶景web 『FAB BOXⅡ』の重み 4/13上映會3)、迫りくる音が臨場感を生み出し、「あの日」を再現してくれたからこそ様々なものが映像と音から伝わってきたのだと思います。

「当時のまま」という説明があったステージでは、富士山と忠霊塔がモチーフに描かれた緞帳が上がった後も、やはり志村正彦君の姿はなくて、ステージ奥に設置されたスクリーンにだけ大きく映し出された彼がいる。

志村君のボーカルも、ギターの音も、キーボード、ドラム、ベースの音も、MCで語る志村君の声も、観客の声も、今、目の前でライブが行われているような錯覚に陥るほどの抜群の音響効果でした。
最高の音とフジファブリックの曲と演奏に酔いしれているうちに、スクリーン前のからっぽなステージに気付き、突然「志村君はいないんだ。」という現実にはっとして、どうしようもない寂しさに襲われる瞬間が何度もあったというのも事実です。

人間の目というのは不思議なもので、スクリーンで何かを観ているという感覚がある時には、スクリーンの中であまり視点を動かすことなく、与えられた映像を自然に受け入れて観ています。テレビなども同様だと思います。

しかし、一旦目の前で何かが起きているのを観ているということになると、大きな空間の中で「何を見たいか」により視点は異なり、焦点を定める場所も人それぞれになります。

同じ瞬間でも、ボーカルの顔を見る人、ギタリストの手元を見つめる人、様々な視点があるのです。

聴覚は完全にライブ感覚なのに、視覚は自由な視点が許されないという状況。

その空間と感覚が何より不思議で、切ない上映會でありました。


順を追ってみていきたいと思います。

一曲目は「ペダル」。

合唱曲「大地讃頌」から、実にスムーズに繋がっていって見事な流れだったのを覚えています。

だんだんと色々な音が出てきて、幾重にも幾重にも重なり合っていくサウンド。曲に合わせて流れる歌詞も相まって、最後には上昇気流にのり、真っ青な空に上っていってしまうような気分になる「ペダル」は、他に類を見ない透明感溢れるロックな曲だと思います。

曲は「記念写真」「B.O.I.P.」へと続きます。

今日の一曲は、『FAB BOXⅡ』ティーザーMOVIEです。
フジファブリックの曲の中で、私は「ペダル」が一番好きです。聴いているとなんともいえない気持ちになる、魂に直接響く曲です。