Sunday 23 March 2014

2014年 春の到来

一週間ほど前から、庭の蝉が鳴き出しました。

暑苦しさを象徴するように鳴きしきる日本の蝉とは違い、日の高い時はあまり鳴かず、日の出日の入り時だけ聞こえる熱帯地方の蝉の声に、真夏の到来を感じます。

関東甲信越地方も、三寒四温の陽気とききました。

気象庁によりますと、甲府市では3月30日に桜開花予想だそうですが、大体、例年通りでしょうか。
「Live at 富士五湖文化センター 上映會」が富士吉田で開催される4月13日頃には街が桜色に染まり、全国からいらっしゃるお客様をお迎えできたらいいですね。
「富士山と桜」という絵に描いたような「和」の絶景は、何度見てもいいものです。

山梨県桜開花情報については、こちらのサイトなどをお役立て下さい。
tenki.jp 日本気象協会 山梨県桜開花情報

山梨県の桜の名所と開花情報 お花見特集2014 Mapple



Live DVD 「Live at 富士五湖文化センター」にも収録されている「桜の季節」について、今日はスポットをあててみたいと思います。過去に書いたブログ記事をまとめ、加筆・修正してあります。

2014年春、特別な思いで書く「桜の季節」です。

尚、この記事は外国にいるファンに、フジファブリックの歌詞世界をより楽しんでいただく目的で書いた記事に手を加えたため、日本人のファンの皆様にとっては少々退屈な箇所もあるかと思います。
ご了承下さい。


日本人にとって、桜という花は数ある花の中でも、特別な意味合いをもっています。桜は日本の国花とも言われ、古くは「花」といえば桜をさす言葉でした。

熱帯地方の植物では、葉と花が同時に見られることが通常ですが、四季がある日本では、秋になると葉を落としてしまう落葉樹も多く、春先、葉が芽吹く前に花を咲かせる樹木はひときわ人目を惹きます。

まだ色があまりない、冬の匂いを残しつつある春先の風景の中で、葉の緑や多彩な色に邪魔されることなく、茶色の枝に咲く花の色が映えてみえるのはそのせいでしょう。上品で可憐な桜色が山や街を染め、風に散りゆく花びらは日本独特の幻想的な風景を生み出すのです。

日本列島は南北に長いため地域によって異なりますが、私のふるさと、山梨県では大体4月上旬から4月下旬にかけて、桜の季節を迎えます。

現代日本では、1月1日を始めとするグレゴリオ暦に加え、事務作業を目的とした「年度」と呼ばれる制度が採用されています。開国後の明治時代に施工されたこの制度は、近代を生きる日本人に浸透しています。

もっとも一般的な「会計年度」「学校年度」が切り替わる4月は、多くの日本人が新しいスタートを切る季節であり、この時期に咲く桜はまるでその門出を祝うかのようです。また、桜の木は多くの小中高校の校庭に植えられているために、「入学式と桜」は日本人が思い描く典型的な構図となっています。


古くは平安時代(794~1192AD)から、満開の桜の下で昼夜を問わず、花見をするのが日本人の春の楽しみのひとつです。

10世紀ごろ、桜が春の歌の重要なモチーフの一つとして注目されるようになりました。平安貴族たちは、美しく咲いたかと思えば散ってしまう桜の花に、自分の人生を重ね合わせ、世の無常を歌に詠みました。

開花から数えると、花の盛りは一週間ほどでしょうか。満開がすぎると一気に散ってしまうため、桜は「儚さ」の象徴でもあります。日本人は、美しさと共に無常観や物悲しさ、潔さを感じるのです。

まだ肌寒さを残す風の中、昨夜まで見事な花をつけていた桜の木は、ハラハラハラとうすピンク色の花びらを散らしていきます。
そして、一度散り始めると急ぐかのように、次から次へと花びらは散っていきます。

雨が降ったりすると、一夜で花が散ってしまうことも、珍しくありません。

全てのものに華の時期があり、時は瞬く間に流れ、なくなっていく。

諸行無常を感じる桜なのです。


フジファブリックの「桜の季節」をみてみましょう。

2004年4月14日、「桜の季節」はフジファブリックのファーストシングル、四季盤の春盤として、発売されました。

ファーストアルバム「フジファブリック」のプロデューサー片寄さんは、ご自身のブログの中で「決してシングル向きの派手なメロディーを持つ曲ではないが、一見ぶっきらぼうな志村君の声で歌われると、とたんにクセになる不思議な魅力を持っていた」といっています。

こちらのブログにフランス人のファンの方が、「『桜の季節』は、漫画のような魅力」というコメントを下さいました。漫画のように、情景が鮮やかに目に浮かんでは次々と消え、日本人の桜に対する心をさりげなく歌い上げているという的確な感想に、うなづいてしまいました。



東芝EMIでデビュー当時からフジファブリックを担当し、「フジファブリックデビュー10周年記念」一連の企画に携わっていらっしゃいます今村圭介さんによると、「桜の季節」の仮タイトルは「子犬のしつけ」だったそうです(「Talking Rock!」2010年7月号)。

「桜の季節 過ぎたら♪」は、「子犬のしつけ 手伝え♪」。

フジファブリックの場合、かなり適当に仮タイトルというものをつけていて、今村さんも「あまり深く考えないほうがいい」と言っていますが、リズム感とメロディーでそうなってということらしいのです。

ただ、桜の曲にしたいという構想が早い段階からあったというのは事実です。

フジファブリックらしいものでデビューしたいという強い思いが、「満開の桜を愛でるよりも、散りゆく桜に感じ入る」フジファブリック独特のせつなさ志向として表現されました。

前述の桜に対する日本人特有の心が、現代音楽、ロックでも唄われているということ。
時代の変遷に伴って表現方法が変化しつつも、千年来、日本人の美意識の根本は変わらないということに大きな感動を受けます。

フジファブリックが「叙情的」といわれる由来は、この四季盤の影響が大きいのではないか思います。「春」を歌った日本の歌は数えればきりがありませんが、四季の始まりである「春」を、志村君独特の繊細な感性で歌いあげた、世界に誇る楽曲となりました。


失恋のショック、近しい人の死、新しい出会いなどが曲を書くきっかけになっていると言っていた志村正彦さん。

一人でいるのは孤独感がありつつ、このようにも言っています。

「でも、『一人でもいいや』と本気で思うようになったらそこに安住し、心の中の満たされない想いはなくなってしまうわけで、それでは曲作りに結びつかなくなる。『誰かに、何かを分かってほしい。』という気持ちが曲を生み出すためには大切。」

彼独特の曲作りに対する哲学をもっていました。


「桜の季節」では手紙と桜を通して、その想いが歌われています。

手紙について、志村君らしいエピソードが記事になっていました。(「音楽と人」2004年5月号)

今はメールがあるから、なかなか皆、手紙を書くということがないけれど、そんな中、時折誰かから手紙を受け取るとハッとする。その「ハッとする」感じを、曲で表現したかったのだそうです。
志村君ご本人は上京中も、富士吉田にいるお母様からよく手紙をもらっていたとインタビューでも言っていますが、恐らくそれがこの曲の歌詞作りに影響したのではないかと思います。

ちなみにインタビュアーに「お母さんに返事書かなきゃ。」と言われると、「書かないです!恥ずかしい。」と、テレながら答える様子が書かれていますので、息子が母親に手紙の返事を書くというのは、志村君の男の美意識に少々反することだったようです!

今も昔も、ふるさとから送られてくる手紙や小包は、都会で一人奮闘している時、心を和ませてくれたり慰めてくれたり、逆に里心がついて寂しくなったり・・・。メールにはない趣があるものです。


「桜の季節」の歌詞を、文学的な見地から分析した興味深いブログを、ぜひこの記事と併せてお読み頂けたらと思います。歌詞を英訳する時に注意したり、深く考察した点が、日本語の歌詞分析で取り上げられることが多いというのは、新たな発見でした。

偶景web [桜が枯れた頃] CD『フジファブリック』6 志村正彦LN73
偶景web手紙-CD『フジファブリック』5 志村正彦LN70

「歌詞を英訳した際に考えたこと、感じたこと」を、中心に次の記事は書き進めていきたいと思います。



今日の一曲は、「桜の季節」です。
富士五湖文化センターで聴くのを、今から心待ちにしています。


Sunday 2 March 2014

「FAB BOX Ⅱ」「FAB LIVE Ⅱ」 先行上映イベント開催決定!

フジファブリックファンの皆様に、とても嬉しいお知らせです!


「FAB BOX Ⅱ」「FAB LIVE Ⅱ」連続リリースに伴う、先行上映イベント開催決定のお知らせです。



2014年4月13日(日)

志村正彦さんの故郷、山梨県富士吉田市にて、2008年に「Live at 富士五湖文化センター」(「FAB BOX Ⅱ」より)が行われたのと同じ会場「富士五湖文化センター ふじさんホール」を開催場所とし、「Live at 富士五湖文化センター 上映會」が特別上映されることになりました!

詳細は、こちらのホームページをご参照下さい。

デビュー10周年記念企画 「FAB BOX Ⅱ」「FABLIVE Ⅱ」 連続リリースとなる映像商品を網羅した先行上映イベント開催決定!
 
「Live at 富士五湖文化センター」のみをフルサイズで上映するだけでなく、「2008年に行われた実際のステージと同じ空間を共有しながら、ライブの空気感までも実感出来る、またとない貴重な時間となります。」(フジファブリック [赤富士通信]第一三一号より 引用)




2008年の凱旋ライブに行くことが叶わなかった私は、生涯このような機会に恵まれることがあろうとは、想像してみたことすらありませんでした。
それも、正彦君がいなくなってから4年の月日を経て・・・。

富士吉田のあの市民会館で、あの大ホールで、あの凱旋ライブが、あの日のまま再現されるなんて、夢のような出来事です。

「ペダル」「記念写真」「桜の季節」「浮雲」「若者のすべて」「TEENAGER」「茜色の夕日」「陽炎」

当時志村君やフジファブリックメンバーが意図して選曲したのかどうかは定かではありませんが、改めてセットリストを見てみると、全19曲のうち、故郷富士吉田を少なからず連想させる楽曲が実に8曲も含まれています。

凱旋ライブを明日に控えた2008年5月30日、またライブの次の日の6月1日の志村日記には、志村君の気持ちがあふれているのでここに紹介させて頂きます。

明日 2008.05.30
 あー、もう明日だ。地元ライブ初めてだ。地元ライブってどんな気分なんだろ。金澤君に電話して聞こうかな。
 県庁所在地でもない、田舎の、千人越えキャパシティのホールに果たして何人が観に来てくれるのかなーと不安になって、さっきマネージャーに電話したら全然大丈夫だって。なんだよ、ちょっとびびってたよ。友達も来てくれたりするのかな。あんま友達いないけど。
 ここまできたら、後は、胸はってライブやるだけかなー。あー、もう緊張してきた。だって夢だからね。

夢 2008.06.01
 終わりました。うーん、どう書けばいいものか。
 夢の舞台、富士五湖文化センター公演、すべてを出し切りました。応援してくれた方、どうも有り難うございました。まさに、至福の時とでもいうべきか、世界の主人公になったとでもいうべきか。そな心境です。会場のお客さんには、あの時僕が何をどう思っていたか、言葉で説明しなくても、言ってしまえば歌わずとも、伝わってしまった気がします。筒抜けだったんじゃないかなー。ちょっと格好つけてみたりしようと思ったんだけど、駄目だった―――。
 そういう意味においても、会場が一体となった素晴らしいコンサートだったと思います。正直、こんなコンサート、後にも先にももうなかなか出来ないでしょう。今まで関わってくれた、沢山の方に感謝しております。有り難うございました。志村の夢、終了――!
 チャンチャン、とはいかないもので、終演後の楽屋で、沢山の花やファンレターやプレゼントに囲まれながら、余韻に浸りながらも、既に次の舞台のことを考えていました。人間の夢、希望とはどん欲なもので、壁を乗り越えても乗り越えてもやってくるもんなんだなー。これで、ようやく次になりたい自分、なりたいアーティストへの照準が定まった。今は折り返し地点? いや、多分何回でも往復して行きます。もっともっと大きな舞台がありますから。それは今後更に目に見える形でお客さんに伝わっていくでしょう。ああ、果てしなき夢。
 東京に戻る。晴れた心の日曜日の朝、富士山が大きく見送ってくれた。ホントに大きな奴だ。週末、雨は上がりました。
 そうだ、今日は映画のコメントの締め切り日だ。書くぞー。ついでに曲も書くぞー。

喉にポリープがあることが判明し、手術を勧められるという不安な心境の中で臨んだ地元ライブでしたが、演奏、歌、MC共に見事なステージでした。

「CDに収録されているような『作品の枠』にとどまるものではなかった。決してお手本のようにまとまってはいない。しかし、それ以上に情感のこもったボーカルはじめ、キーボードやベース、ギター、ドラムの『飛ばした』サウンドが、彼らの積んできた歴史となって心を揺さぶった。」

「『この歌(茜色の夕日)を歌うためにプロになった』という自身(志村正彦さん)が、彼をよく知るファンに、故郷に、包まれた瞬間だったのだ。」(山梨日日新聞 2008年6月11日付 記事 沢登雄太記者)

「純粋な思い」というものが、どれほど真っ直ぐ、太陽の光線のように人の心に射し込むのか。
フジファブリックの刻んできた歴史だけに留まらず、間違いなく日本のロック史に残る名ライブだと思います。

3月4日、あさっての午前11時より、先行上映会のチケットの予約が始まります!
皆様、またとないチャンスです!



2014年4月14日(月)

4月13日に富士吉田へ行くことができないファンの皆様に、朗報です!

フジファブリック デビュー記念日である4月14日(月)、全国5ヵ所の映画館にて、連続リリースとなる4つのDVDの先行上映イベントが開催されます。



「FAB MOVIE -劇場版-」と名づけられたこのイベントでは、

1.「Live at 渋谷公会堂」(「FAB BOX Ⅱ」より 2006年12月25日)
2.「Live at 富士五湖文化センター」(「FAB BOX Ⅱ」より 2008年5月31日)
3.「フジファブリック HALL TOUR 2013 "VOYAGER" at NHKホール」(2013年5月19日)
4.「FUJIFABRIC LIVE TOUR 2013 "FAB STEP" at Zepp Tokyo』(2013年11月23日)

計4公演を、同時上映。
トータル2時間の劇場版として、先行公開されます。

映画館の大画面・大音量で一挙に追体験できる一日限りのプレミアイベントです。
詳細は、こちらをご参照ください。

デビュー10周年記念企画 「FAB BOX Ⅱ」「FABLIVE Ⅱ」 連続リリースとなる映像商品を網羅した先行上映イベント開催決定!



フジファブリック デビュー10周年記念企画に関する情報が盛りだくさんのSpecial サイトが、開設されました。映像リリース、上映イベント、スタッフブログなど、充実の内容です。

こちらも、あわせてご覧ください。

フジファブリック デビュー10周年記念企画 Specialサイト