Tuesday 29 October 2013

志村正彦君と花


2013年10月4日掲載記事「ないものねだり」の続編です。

志村君の書く歌詞の中には、「星」「月」「虹」「陽炎」など多くの自然に関する言葉が登場しますが、「花」はその中でも特別な位置を占める単語のような気がします。

「花」は元来、芸術作品のモチーフとして取り上げられることが多く、様々な分野の芸術家にインスピレーションを与えてきましたが、音楽の一ジャンルであるロックにおいても例外ではありません。

ジャパニーズ・ロックで、「桜」を歌った曲の数だけを考えてみても、「花」がいかに作り手の心を動かし、曲を通して聞き手の心を動かすかは、想像に難くありません。

先日、たまたま車の中で、槇原敬之さんの「世界に一つだけの花」を耳にする機会がありました。この曲は、SMAPがカバーしたり、紅白で歌われたりと広く世間でも知られている曲ですが、今まで一度も歌詞を意識して、じっくりきいたことはありませんでした。

「ないものねだり」に歌われている花について、ちょうど考えていた時期だったので、各作詞家の歌詞に登場する「花」がどのように表現されているのか、大変興味がありました。


「世界に一つだけの花」には、まず「花屋の店先」に並ぶ売り物としての「花」が登場します。「ひとそれぞれ好みはあるけど」「どれもみんなきれい」に咲いています。

栽培方法や季節、需要と供給のバランスなどにより、人間によって値段が付けられ、商品として価値を見出された花たちばかりです。

そんな人間の都合は関係なく、花たちは「誰が一番だなんて」いうことは気にもせず、お互い「争うこともしないで」、バケツの中で一輪一輪「しゃんと胸を張って」店頭に並んでいます。

「頑張って咲いた花はどれも」「きれいだから仕方ない」のですが、どの花を買おうかと悩んだ末に、「色とりどりの花束」を抱えて出てきたお客さんの「嬉しそうな横顔」。

その「嬉しそうな横顔」は、あの日、「誰も気づかないような場所で」「咲いて」いた、名前も知らない花がくれた「笑顔」を瞬時に思い起こさせます。人間の笑顔をみて、花が僕にくれた笑顔を思い出したのです。

花と人間とを照らし合わせ、人間のもつエゴに疑問符を投げかけ、「そうさ 僕らは 世界に一つだけの花 一人一人違う種をもつ」「その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい」、そして「一つとして同じものはないから」「No.1にならなくてもいい もともと特別なOnly One」と締めくくります。


「現実感のある言葉を用いて、観念的な言葉は直接使わない」という、槇原さんが歌詞を書く基本スタイルがそのまま貫かれ、彼の価値観や人生観がわかり易い言葉で表現されたこの曲は、槇原さん自身が、「ライフソング」と呼び(生きることや人のアイデンティティを深く掘り下げたもの)、当時の世相を反映したこともあって2003年に、大ヒットしました。

槇原さんの描く華々しい印象を与える「花」。対照的に咲いているのがフジファブリックの「花」たちのような気がします。

まずは「花屋の娘」で、「そのうち消えてしまった」「あの娘」。その雰囲気は「野に咲く花の様」で、「僕」はその娘を「菫(すみれ)」と名付けます。

「花」に出てくる「つぼみ開こうか迷う」花。
「赤黄色の金木犀」に出てくる「金木犀」。
「ペダル」に出てくる「だいだい色 そしてピンク」の「咲いている」花。
「ないものねだり」に出てくる「路地裏で咲いていた」花。
「蜃気楼」に出てくる「鮮やかな」花。
「ムーンライト」に出てくる、「惑星を眺めつつ」植えたい花。

様々なところで登場する「花」たちですが、志村君の書く「花」は何か共通のものを感じます。

今日の一曲は、「花屋の娘」。独特な雰囲気をもつこの曲に、打ちのめされたファンも少なくないでしょう。

Friday 18 October 2013

2013年 夏のチャイム 「茜音色の夕日 ふじよしだの空は輝いています」 最終レポート


(当日の空 新倉浅間神社にて撮影)

2013年7月14日(日)

この日も朝から晴天に恵まれ、気持ちのよい夏空の下、志村正彦君にとって特別な場所、三国第一山 新倉浅間神社(山梨県富士吉田市新倉)、通称「忠霊塔」でイベントが開催されました。

本番を控えて、出演者全員で本殿前にてお参り。

出演バンドはほぼ前日13日と変わりませんでしたが(本城さんと、中西さんがご都合により欠席。)、地元富士吉田の桑原さんと、フランスからいらしたショーン・レノー君が仲間に加わってくれました。

大きなお兄ちゃんやお姉ちゃんの中に入って、ショーン君はフジファブリックの曲の中でもファンが多い「タイムマシン」を、見事ピアノ独奏してくれました。
(ショーン君はお客様のアンコールに応えて、二度演奏して下さいました。)

演奏の模様は、NHK「まるごと山梨」(7月23日に山梨地域限定で放送)と「情報まるごと」(8月1日に全国ネットにて放送)でも放送されましたので、ご存知の方も多いと思います。


その後TwitterやSNSなどのネットでも、人気を集めているあのフランスのショーン君。出演した感想を、寄せてくださいました。
「富士山と志村くんに近いあの神社で弾けて、よかったです。
僕は一人で弾いたので緊張しました。
たくさん間違えてしまったけれど、好きな曲を弾けてうれしかったです。」

Sean Lenoir
ショーン君は会場入りしたのが遅かったため、ほとんど練習もできずに臨んだステージでしたが、胸を打つ素晴らしい演奏でした。

志村正彦君が遺してくれた曲は、こんなにもいい曲ばかりだったかと思いながら各バンドの演奏を聞いていましたが、ショーン君の弾く「タイムマシン」を聴いていたら、自然に涙が出てきました。

優しい音色で始まる出だしから、あのメロディの旋律を奏でるピアノの音。
平凡な幸せに憧れ、悩みぬく日日を歌った歌詞。

志村君の声がピアノにのって聞こえてくるようで、なんとも切ない気持ちになりました。彼の不在が、胸をしめつける瞬間でもありました。

ショーン君の奏でるピアノは、まっすぐ私達の心に響いてきましたよ。
ショーン君、どうもありがとうございました。

(桑原真弘さん)




このほかの出演者も、感想を寄せて下さいました。(順不同、敬称略)

(尚、私の不手際より、感想を頂戴することができなかった出演者の皆様、この場に掲載できず、大変申し訳ありません。連絡先を持ち合わせていない等、諸々の理由により、掲載叶いませんでした。謹んで、お詫び申し上げます。)

(本城さん、下吉田倶楽部でのお写真を使用させて頂きます。)

本来志村さんの故郷へ足を踏み入れる事ができただけでも嬉しいのに、その地でフジファブリックを唄い、そしてギターを弾かせていただいたという事は本当に自分の誇りです。
志村さんが富士五湖文化センターでのLIVEで語った“今までの事は報われた”という事を、恐縮ですが僕も思いました。
僕も音楽がしたくて、生まれ故郷の鹿児島を出て名古屋に行きました。そして志村さんと同じように、大人になっていく友達をいつの間にか羨ましく思ったりもしました。そんな自分にもずっと苛立ちを持っていました。

しかしながら、ファブリック専務バンドを組み、その結果下吉田でのLIVEに出演ができ、富士吉田の方々の優しさやフジファブリックへの思いが伝わり心一杯演奏をすることができました。
緊張もしたのですが、僕の目の前には高校の時に同じ部活で青春を過ごした親友2人と、その後ろに志村さんが乗っていたバイクなどがあり、そのバイクに肩肘立てて志村さんが観ているのではないかと思い感情のバロメーターを振り切って演奏ができました

志村さんが生まれた場所に行けただけでも幸せですが、その地でギターを弾いて、唄を歌えて、言葉にならない幸せとフジファブリックを感じることができました。ありがとうございました。」
フジファブリック専務バンド 本城靖明


先日は皆様のお陰で、普段体験できない環境で無事楽しく演奏をさせていただくことができました。
志村さんも少しでも喜んでくれてたらいいなぁ…と思います。
こんなに素敵なイベントを企画・運営してくださった皆様、素敵な演奏を聞かせてくださった共演者の方々、驚くほどのお心遣いをくださったご家族の皆様、温かく見守ってくださったお客さま、本当にありがとうございました!」
サムライ祭り。があるので今日は定時で帰りたいです。すいません部長。


(namellowさん、14日は私がステージ裏で準備中だったもので、お写真の撮影ができませんでした。前日のお写真にて、失礼致します。)

「メンバーみんなで話していましたが、改めて富士吉田の方々、志村さんを想う方々の暖かさが素敵だと実感できました。
また、神楽殿では、マッチレスのアンプにギブソンを繋いで志村さんの残した目印シールのセッティングのままに音を出してみたときと、東京FMの茜色の夕日をあの場で聴いたとき、本当に志村さんが目の前にいるような感覚を覚えました。

本当に、夢のような2日間でした。ありがとうございました!

僕個人としては、実は喉の調子が最近あまりよくなかったことを懸念していたのですが、神楽殿では練習よりずっとうまく唄えました。
もしかしたら志村さんが手助けしてくれたのかな。なんて都合良いように思ったりしています笑」
namellowの唄い手 はみんぐばーど


「非常に楽しい日が過ごせました。
1日目は、緊張し、志村君のファンの皆様の前で、演奏を間違わないようにだとか、歌詞を忘れないようにだとか、もうテンパっていまして訳も分からず終わってしまいました。
夜、ふと考えたんです、楽しかったなーって、でもこの楽しさを与えてくれたのは、
志村君がいて、フジファブリックがいて、ファンがいて、家族がいて、スタッフさんがいて
なんかもう、お陰様がありすぎてありすぎて、俺ってどうしようもねーなーなんて思って、
ありがとうございましたと、こころで唱えました。
2日目は、ふわふわと雲の中にいるような気分で、続々とファンの方たちがあの坂道を上ってくる姿を見て、イヤーほんとスゲーって これだけ人の心を動かす志村君の存在がスゲーって、みんな気を付けて帰ってねーとか、もうそういう言葉がひびきまして
ほんと勉強になりました。
ありがとうございました。」
藤本マリオ


「前回に引き続き僕達が出演できたのは本当に沢山の方々のおかげなんだというのをずっと考えていました。本番の前後はあまり気持ちに余裕もなくそんなに気が回らなかったのですが、終わってから一人になった時に企画や準備、片付け、富士吉田に集まってくれた人達に改めてお礼を言いたいと思いました。
僕達はわずかな時間で、しかもちょっと恥ずかしい演奏でしたが、このイベントに参加できた事にとても感激をしています。

同じ地元という事を抜きにしてのめり込んだ15歳の時、あの時から憧れてばかりです。
そんなただの一ファンですが、参加させて頂き本当に皆さんに感謝しています。そして何よりも志村正彦さんに感謝しています。
人生を変えられました。

どうもありがとうございました。」

Fox Pharmacy 渡邊大地

アコースティックギター二本で出来ることは限られていますが、フジファブリックの魅力の一つは楽曲の振り幅にあると思うので、今回は色々なタイプの曲に挑戦してみました。フジファブリックの曲は決して簡単ではありませんが「つい弾きたくなる」フレーズが多く、どれも大好きな曲です。

沢山のフジファブリックファンの前で演奏させて頂きましたが、自分たちも、たまたま少し楽器をやっているだけのただの一ファンなので、ものすごく緊張しました。失礼のないように沢山練習してきたつもりですが、本番となると間違ってしまった所も多かったと思います。それでも演奏が終わった後は、皆さん温かい拍手を下さって本当に嬉しかったです。

色々な人のお陰で、いくつもの貴重な経験が出来た三日間でした。本当にありがとうございました。

僕はフジファブリックのお陰で音楽の楽しさを知って、それからどんどんのめり込んで今に至ります。民生さん、GREAT3、TRICERATOPS、メレンゲ、スパルタローカルズ…もちろん洋楽も、沢山の素敵な音楽を志村さんに教えて頂きました。

それだけで十分感謝なのですが、色々な出来事が重なり、いつしか自分も音楽を志すようになりました。

以前、僕は生意気にも『僕にとって志村さんは、志村さんにとっての民生さんです』とメッセージノートに書いたことがあるのですが、その言葉が誰にとっても失礼にならないように、これは決して簡単なことではないと思いますが、一生懸命努力していきたいと思います。
Fox Pharmacy 三橋亮太

会の最後に私が、志村家の皆様からファンの皆様へのメッセージを代読させて頂きました。

いつもは決して表舞台に立つことのない志村家の皆様ですが、「いつも遠くからお墓参りに来て下さるファンの方々に、常々お礼を伝えたかった。本来ならば一人一人にお礼を言いたいけれど、なかなかそうもいかないので、この機会を通して皆様へ気持ちを伝えたい。」というご意向から、実現致しました。

ご家族からの丁寧な感謝の言葉と、正彦君のご友人からの手紙を紹介させて頂きました。2006年の7月頃、「地元にいつか帰りたいけど、しっかり音楽で恩返しできるまでは帰れない。いつかは地元でスタジオを開いて、若いミュージシャンを応援してあげたい。」と、志村君はご友人に語っていたそうです。(ご友人のお手紙より)

夢が叶うことはなかったけれど、遥かなる時と距離を越えて、志村君の思いはあの日の私達に届きました。ただただ、「ありがとう」を言いたいです。
志村君、どうもありがとう。

叶うことのなかった夢へ会場中が思いを馳せていた時、ご家族が大切に保管してあったテープが流されました。2005年、FM 東京で放送された、志村君の奏でるアコースティックバージョン「茜色の夕日」でした。ご家族から会場に集った皆様への、心のこもったプレゼントでした。


志村君の歌声が聞こえてきた時、フジフジ富士Qの最後に「若者のすべて」が流れてきた時と同じ気持ちになっていました。
彼の音楽と歌詞に、そして彼の真面目な人間性と純粋な心に、これからも多くの人が魅了され続けていくと思います。

「世界の皆さんに、フジファブリックの音楽の素晴らしさをご紹介する」というのがこのブログの趣旨ですが、志村正彦君が彼の楽曲の中で、彼を大好きなファンやミュージシャン、ご友人、ご家族の中で、今までもこれからも、ずっとずっと生き続けていることをお伝えできるブログでありたいと思います。

今日の一曲は、「茜色の夕日」です。志村君自身のような曲です。

Friday 4 October 2013

「ないものねだり」

ちょっと一息。

「偶景web」に、「一番美しいもの」という記事が、アップされました。2013年9月29日 「一番美しいもの」
藤谷怜子さんのいう「ああ、ここには人の心の一番美しいものがある」という文章に、とても感銘を受けましたのでご紹介致します。

4th アルバム「Chronicle」の中でも、
「僕個人的には、"ないものねだり"が好きです。」(「東京、音楽、ロックンロール」2009年5月20日付日記)、
「(Chronicleの)どの曲もいろいろな形でそのことを歌ってるんですけど、この曲に一番集約されてると思うから」(「FAB BOOK」p96)、
と志村君自身も評していた「ないものねだり」。


全体的にそれほどダイナミックな抑揚もなく淡々と続くメロディーに、これまた淡々とした歌詞。


『ないものねだり』の「僕」は「気持ち伝える」のに悩み、「大事なところ間違えて」、「膨大な問題ばかりを抱えて」いる。いつの日も「あなた」に悩ませられている。うまくいかない、カッコわるい、そんなことばかりがあって、ありたい自分とのギャップにないものねだりを繰り返している「弱い生き物」だと自己評価している。(「偶景web「一番美しいもの」213年9月29日付記事より抜粋)
様々な交錯する中、「いっそ笑ってよ」と自虐的にまでなっている中、肩の力がちょっとだけ抜ける帰り道。

「路地裏で咲いていた 花の名前はなんていうんだろうな」と、「僕」はふと考えます。

路地裏に咲いている花は、きっと世でいう「雑草」の類と思われます。
雑草というものは、通常作物に害をもたらし、人間活動で大きく撹乱された土地にも自生できて、普通に身の回りに生えている植物と考えられています。

藤谷さんのいう「名もなき」という言葉が、まさに適用されてしまう植物であります。

でもいろいろな思いが錯綜する「僕」が、ふと眼を向けた先は、お花屋さんに並ぶ高価なガーベラやバラなどではなく、「雑草」に咲く花。
ここに志村君の感性が、詰まっていると思います。


雑草は、人間が勝手に考えた分類法により分類され、「雑草」と看做されただけのこと。名前自体も、所詮人間が勝手につけただけで、どのような名を付けて人間が呼ぼうが、そのものがもつ本質は何も変わらないはずです。

「帰り道に見つけた 路地裏で咲いていた 花の名前はなんていうんだろうな」

「ペダル」の出だしにある
「だいだい色 そしてピンク 咲いている花が
まぶしいと感じるなんて しょうがないのかい?」にも、同じ響きを感じます。

「咲いている花」というのですから、切花として花屋さんで売られている花ではなく、やはり野に咲く花なのでしょう。


物事の本質を純粋にみていた志村君の価値観と鋭い感性が、またそれが素直に表現される歌詞が、今の世知辛い世の中で多くの人に求められ、心によりそってくれているのでしょう。
またそれは、フジファブリックの曲の原点ではと思いました。

藤谷さん、美しい文章で綴る記事をどうもありがとうございました。
志村君、すばらしい音楽をいつもありがとうございます。

2013年 夏のチャイム 「茜音色の夕日 ふじよしだの空の星は輝いています」 レポート2

タイへ帰ってまいりました。
私事が多忙を極め、長期にわたりブログ記事が書けませんでしたこと、お詫び申し上げます。

2013年の夏は、まさに「志村正彦の夏」と呼ぶにふさわしい、志村君一色の夏でした。その夏が終わり、山梨はもう朝晩かなり涼しい(寒い?)ときいております。
今日の富士吉田の最高気温は、15度!雨も降って、寒い一日になりそうです。

果物の甘みをつくるためには必要不可欠な寒暖の激しさですが、人間にとっても過酷な気候であることは、間違いありません。
日本の皆さん、体調崩さないようにお気をつけください!

そういえば先日、富士北麓でも寒さに強い桃の品種を栽培するとのニュースを、山梨日日新聞朝刊で目にしました。
「北麓の桃富士山土産に」 山梨日日新聞 2013年10月1日(火)

「富士五湖・富士山エリア(郡内)は、そのまま山梨代表のリゾート地でいて!」という気持ちになるのは、私だけでしょうか!?

さて、前回からのライブレポートを続けます。

前述の理由により、イベントからかなりの時間が経過してしまいましたので、スタイルを一新してお伝えしたいと思います。

2013年7月13日(土)
下吉田駅構内 下吉田倶楽部にて行われたライブの模様の続きです。

3.藤本マリオ with per だいぴん

トロピカルな感じにアレンジされたフジファブリックの曲をきいたは初めてでしたので、新鮮でした。
「若者のすべて」
「桜の季節」
「茜色の夕日」


4.中西たまき

東京からいらしたファンのお一人で、飛び入り参加。地元の人間には思い入れが深いこの曲を、歌ってくださいました。
「夜汽車」


5.フジファブリック専務バンド より Gt & Vo本城靖明

名古屋に拠点をおくバンドで、フジファブリックのカバーをしています。この日、一日だけの参加でしたが、ファンの間で人気のある曲ばかりを演奏して下さいました。
「MUSIC」
「桜の季節」
「茜色の夕日」
「笑ってサヨナラ」

6.Fox Pharmacy Gt & Vo渡辺大地 Lead Gt三橋亮太

以前、山梨日日新聞の記事に取り上げられたことのあるお二人は、(「『フジファブ』志村 富士吉田でしのぶ 心つなぐ故郷のチャイム」2013年1月8日付記事)2012年12月に富士五湖文化センター(市民会館)でのライブに続き、二回目の出演。大地くんは、富士吉田の出身です。
独特な選曲が、目を引きました。

「NAGISAにて」
「Chocolate Panic」
「ベースボールは終わらない」
「まばたき」
「水飴と綿飴」
「地平線を越えて」
「ロマネ」



7.サムライ祭り。があるので今日は定時で帰りたいです。すいません部長。  Ba大平洋右 Drはまてふ Vo & Gt田村優華

鮮やかな三色のはっぴを着て登場した三人。フジファブリックの曲を女性ボーカルで聴くのが初めてだったので、こちらも印象的でした。

「桜の季節」
「Sugar!!」
「Birthday」
「若者のすべて」


8.namellow
Voはみんぐばーど Gtやまむ Ba桂 Keyこうしゅ☆ Flことやよ Cajonあいぼりー Designすぺ(marie sawada)

こちらのバンドも、2回目の志村正彦展ライブに続き、二回目の出演。今回の出場バンドの中で一番メンバーの人数が多いだけあって、折り重なる音の深さが響きました。

「ルーティーン」
「消えるな太陽」
「陽炎」(アコースティック・バージョン)
「虫の祭り」
「若者のすべて」
「虹」



演奏終了後、興奮冷めやらぬまま出演者、地元の方達、全国から集まってくれたファン、イベント関係者全員で、下吉田駅の前にあるロータリーに出て、立ち話など楽しみつつ、待つこと20分程だったでしょうか。

夕方5時。
駅前に設置してある防災無線のスピーカーから、チャイム音に編曲されたフジファブリックの代表曲「茜色の夕日」が、流れました。2分7秒に集約されたあのメロディーが、暮れゆく富士吉田の街に響きわたり、そこに集まる一人一人がチャイムに思いを馳せていました。

2008年、市民会館で行われた凱旋ライブの時、「茜色の夕日」を歌う前に志村君が思い詰めた顔をして語ったMCのことを思い出し、こういう形ではありましたが、富士吉田市民の皆さんに彼の大切な曲が届いたことにより、志村君の夢が少しだけ叶ったような気がしました。

彼の作った曲が世代を問わずファンを魅了し続ける理由は、いろいろあると思います。
その中でも、独特な音楽と言葉を通して表現される「日本人のもつ普遍的な感情や感性」は、フジファブリック最大の魅力であり、曲がリリースされて何年経っても色褪せることなく、かえって深みを増し、聴き手の心に取り込まれた瞬間から、じわじわと(ここがまたフジファブリックらしい!)ブイヨンがきいていき、皆を虜にしていくのです。

次回は、2013年7月14日(日)忠霊塔での様子です。