Friday 22 April 2011

花屋の娘 - 「ちょっと恋をした」

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今日も、引き続き「花屋の娘」です。

歌詞に「暇つぶしに駅前の花屋さんの娘にちょっと恋をした」という箇所があります。
フジファブリックらしい?独特な言い回しですが、この「恋」について考えて見たいと思います。

日本人は「恋」と「愛」、微妙なニュアンスを理解しつつ、実に上手に使い分けます。
先述の歌詞にでてくる「恋」も、「愛」に置き換えられないことは日本人ですと自然と分かりますが、他の言語でも同様とは限りません。

例えば、英語だとすべて「love」で表現されます。
タイ語でも英語と同様、「ラック」という単語のみです。

日本語の「ちょっと恋をした」は、明らかに男女間の感情です。それも、二人が会ってからさして時が経っていないという情報も含まれます。なぜなら、「恋」は「愛」に比べて、もっと情熱的である上に、一過性で長い時間の経過をともなわない感情だからです。

元々、「恋」という言葉は、平安時代に使われるようになった「こふ」という言葉からきています。「こふ」とは、「その人と一緒にいようにもいられない事情・状態で、つらく切ないほど、どうしようもなく引きつけられる。また、それに似た気持ちで、ものを慕いなつかしむこと。」(岩波 「国語辞典」参照)とあります。「意味に重点が、対象に引きつけられることから、対象を心の中で追い求めることに傾いた。」というのが、理由のようです。

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要するに、「恋」は一方的であり、「恋」をしている本人の内面の感情が何よりも重要だということです。恋の対象になる相手との関係は、片思いであろうが両思いであろうが、大きな問題ではありません。後々、この「恋」がある程度の時間を経過し、お互いの思いが通じ合い、両者の感情のやりとりが積み重なっていくうちに「愛」へと変化していくのです。

日本でも多くのミュージシャンがカバーしている「君の瞳に恋してる」という曲がありますが(そういえば、同タイトルのドラマもありましたね)、「君の瞳を愛してる」より「軽い」感じがしませんか。

一方「愛」は、男女の間だけにこだわらず、もっと大きな対象物も含まれます。「人類愛」「真理への愛」「子に注ぐ愛」「神の愛」などなど。「身を焦がすような恋」はあっても「身を焦がすような愛」は、ありえません。
「愛」には、男女間の慕い寄る心の他に、「かわいがり慈しむ」「恵みいたわる」「大事なものとして慕う」「その価値を認め、大事に思う」心などが、混ざり合います。そして一過性のものではない形へと、変化していくのです。

「花屋の娘」の「ちょっと恋をした」のと、「Bye Bye」でいっている「愛はなんだい 分からない 分かるもんなら困らない」は、フジファブリックの曲の中でも、「恋」と「愛」の違いを端的に表していると思います。

日本人は恋心を、数々の和歌や詩、歌、小説などを通して表現してきました。万葉集には、恋に悩む歌が多くあります。
私が小学生の時、テレビから流れる流行歌を聴いて、「どうして恋とか好きとか、ばっかり歌うの。」と母に質問したことがありました。その時母は、「やっぱり、人間の心を強く動かす感情だからでしょうね。昨日のカツ丼おいしかった、よりは共感も呼ぶんじゃない?」と答えたのを憶えているのですが、案外真実かもしれません。

「花屋の娘」に、戻ります。

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娘さんにちょっと恋をした「僕」。彼女は、「どこに行きましょうか?」と、「僕」見る花屋の娘さんは、野に咲く花の様にそのうち消えてしまいます。
四季の移ろいの早い日本では、野に咲く花も次々と変わっていきます。早春に春の到来を告げるふきのとうや福寿草、その後にはつくしやタンポポ、レンゲソウ、スミレなどが続きます。そしていつしか、夏の草花へと移り変わっていきます。
自己主張するわけでもなく、淡々と咲き、次の季節へ知らぬ間に変わっていってしまうイメージが、野の花にはあるような気がします。



クリックすると新しいウィンドウで開きますそして・・・妄想は更に膨らみ、二人で公園デートらしきものをします。かくれんぼしたり、通せんぼしたり、ブランコに乗ったり、追いかけっこしたり、子供のように遊びます。そういえば「MUSIC」の中でも、「君」と通せんぼしているところがありましたね。通せんぼに何か特別な思いがあったのでしょうか。また、調べてみます。

志村君は、「花屋の娘」について「あまり何も考えず、ノリや疾走感を大切にして演った曲」といっていました。(こちらの インタビュー をどうぞ。)歌詞には思い入れがあったらしく、「誰にでもある人間の気恥ずかしい面を、みせてしまおう。」という、人間の深層心理に迫った?というのが伝わってきます。


では、今日も「花屋の娘」。
お聴きください。


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