Tuesday 31 August 2010

陽炎



陽炎を見たことがありますか?

日本では夏の風物詩ですが、ここタイでは常夏にも関わらず、あまり陽炎をみることがありません。
不思議に思い調べてみると、「局所的に密度の異なる大気が混ざり合うことで光が屈折し、起こる現象」だそうです。

そうか!
昼夜問わず暑いタイでは、「異なる大気」が混ざり合うことがないので、あまり見ないということのようです。

また、「よく晴れて日射が強く、かつ風があまり強くない」という気象条件は、日本の典型的な夏の日なので、よく見かけるのでしょう。

無色透明ですが、向こうに見える景色がゆがんで見える不思議なモノです。
メラメラと暑くて溶けそうな道路から昇り立つ陽炎を見ることが、一番多いかもしれません。


フジファブリックの「陽炎」は、少年時代の夏の思い出を、志村正彦くんがよんだ曲です。
「あの街並」とは、きっと彼が育った富士吉田市の街並と思われます。
昭和時代の香りのする、独特の街並です(画像はこちら)
山梨県 富士吉田市の街並


大好きな野球のバットを持って、お小遣いを片手に、お菓子を買いに行く。
日本の子供たちによくある光景です。

志村くんも、小中学生時代は野球少年で、8番ライトとして活躍しました。
野球部に所属している少年たちは、夏休み返上で毎日練習に明け暮れます。

曲の途中、にわか雨が降ってきますが、こちらもまた日本の夏の風物詩です。
「夕立」といって、夕方に降ることが多いものです。
シトシトと降るのではなく、突然空が掻き曇り、雷鳴と共にすごい勢いで雨が降ります。
南国のスコールに近いかもしれません。

そしてしばらくすると雨はやみ、先程までとは違う、険のとれたやわらかな陽が差してくるのです。
雨のおかげで空気は澄み、下草の香りがいっそう強くなります。

日中の暑さはおさまり、こうして山の木々も草花も農作物も人も、暑かった夏の一日にほっと一息。


そのような情景を思い描いて、フジファブリックの「陽炎」を、聴いてみてください。


Monday 30 August 2010

桜の季節



日本人にとって、桜という花は数ある花の中でも、特別な意味合いをもっています。

日本列島は南北に長いため、地域によって異なりますが、私のふるさと(山梨県)では大体4月上旬から5月上旬に、桜の季節を迎えます。


現代日本では、別れの3月(卒業、転勤、退職など)が終わり、4月に入ると新しい生活が始まります。
その季節に咲く桜は、「花咲く」イメージがあります。

熱帯地方の植物では、葉と花が一緒に見られることが普通ですが、日本では秋に落葉樹は葉を落としてしまうため、春になると葉の芽吹く前に、まず花が咲きます。
茶色の枝に咲く花の色が、可憐に映えてみえるのはそのせいでしょう。


古くは、平安時代(794~1192AD)から、満開の桜の下で昼夜を問わず、花見をするのが日本人の春の楽しみのひとつです。
また、桜は満開がすぎると一気に散ってしまうため、「儚さ」の象徴でもあります。
桜の花の散り方は、他の花とは違う趣があり、日本人の心の琴線にふれるのです。

春、陽射しが暖かくなっても、山から吹く風は、まだひんやりとしています。
そんな風の中、昨夜まで見事な花をつけていた桜の木は、ハラハラとうすピンク色の花びらを散らしていきます。
そして、一度散り始めると急ぐかのように、次から次へと花びらは散っていきます。

雨が降ったりすると、一夜で花が散ってしまうことも、珍しくありません。


「あんなに見事だった桜が、今朝は葉桜になってしまった。」
全てのものに華の時期があり、時は瞬く間に流れ、なくなっていく。

諸行無常を感じる桜です。

ぜひ、そんな桜の花を想像しながら、フジファブリックの名曲「桜の季節」をお聴きください。


富士山麓から世界に響け!フジファブリック!!Resound from the foot of Mt. Fuji! Fujifabric!!

今日、また何曲かの英訳が終わりました。
フジファブリックの楽曲のほとんどを手がけた志村くんですが、「一人ひとりが、それぞれの聴き方をしてくれるように。」という思いから、歌詞の中に限定的な単語をあまり使いませんでした。
それでいて、情景が鮮明にうかぶ名曲の数々、ぜひ聞いてみてください。
Today, I have finished translating a few songs more.
Mr. Shimura,Who wrote almost all of lyrics and music in Fujifabric songs, wished each listener to listen to their music in his/her own way.
He, therefore, did not use words, which limit the scene in songs.
And yet, scenes can be easily and clearly pictured in mind while listening to Fujifabric songs.
Enjoy listening!